前回のコラムでは「女性管理職は感情的でイヤだ」と言っていた私の会社の男性社員をわたしが諭した話を書かせていただきました。
そこから1か月でとんでもない方向にことが進みましたのでご報告も兼ねて書かせていただこうと思います。
前回コラムのまとめ
私が経営するグランピングではAさん(60歳女性)が支配人。そこにBさん(31歳男性)社員が働いています。
去る5月連休は全日満室で大賑わい。
現場は緊張の連続でした。
その際のシフトのダブつきが納得いかなかったBさんは、周囲の人に支配人Aさんの悪口を言いふらし、最後は社長の私にまで「Aさんは自分が動きたくないので人を多めに投入してサボっている。社長はそれをご存じか」と告げ口してきました。
そこで私はBさんに「支配人Aさんのシフトの組み方に違和感があるのなら、直接Aさんに聞いてみましょうよ。
その際に、『なぜあの日はちょっと人数多かったのですか?何か理由がありましたか?』と背後の事情を尋ねるやり方で聞いてみたらどうでしょう」と諭したつもりでした。
その際にBさんも「勉強になります」と言っていたので一安心した私でした。
社長の指導は精神的苦痛
ところがこれが大変な騒ぎに発展するのです。
この私の指摘がお気に召さなかったのか、この1年で3回ほど私がたまりかねて彼に指摘をした時の「私の発言メモ(1年前からの日付もあり)」を持ち出し、社内の他のスタッフに「社長のパワハラに耐えられず眠れない日が続いている。労基署へ行こうと思う。」と相談。
その相談を受けた先輩が「この人ちょっとおかしい」と感じて私に知らせてくれたことから騒ぎが大きくなりました。
そのメモには上記シフト組みについて私と話した数日前のその記録もあり。
「社内業務の改善を社長に提案したら自分だけが叱責を受ける。他の人には甘いのに自分だけが不当な扱いを受けて精神的苦痛(2023年5月)」
これを読んだとき、私は椅子から落ちそうになるほどびっくりしました。
さて困った。
業務上の指導が「精神的苦痛」と言われては何も言えません。
本人にとっては苦痛だったのは事実でしょうからそこは理解をしてみようと思いましたが、私の発言をこのように週刊誌的に部分を切り取りメモして労基署に行きますと言われて黙っているわけにもいかず。
本人と個人面談
Bさんに「先日他の人に見せた精神的苦痛のメモを私も受け取りました」と告げて、
・私に言われて苦痛だったのは何か
・他の人はレベル5の仕事でほめられ自分はレベル10の仕事で評価されないとは具体的に何を指しているのか
など、そのメモをもとに2時間ほどかけて話をききました。
そして毎回こうやって記録を取るのも大変でしょうから、私とのやりとりはいつも録音したほうがお互いに安心ですねと言う話になりました(それでは仕事になりませんけど)。その上で、どうしても納得がいかないと思うなら労基署に相談に行ってくださいねとも伝えました。
「社長は人事系コンサルタントをしているので、僕に労基署に行かれたらマズくないですか?」と言うので、私がパワハラ上司として改める点や違法な行為をしている点があれば当然受け入れて反省する必要がありますから、労基署やマスコミによる社会的制裁は必要に応じて受けましょうとお伝えしました。
その結果、彼はこの面談から1週間後に「退職します」と言って辞めていきました。
今回のことで私が得た反省は沢山ありますが、その中で最大の気づきは「認めてほしい」というこの若い従業員さんの気持ちの深さをまったくわかっていなかったことです。
彼があれこれ書いていたことは「僕を認めてください。そして賞与に反映してください。」ということだった気がします。
確かに他の人を見下したり、自己中心的な態度と行動をしたりする人だったけれど、業務においては極めて真面目で信頼がおける人でした。
当たり前のことをちゃんとできる人をもっと承認する言葉をかけるべきだったなと思いました。
当たり前のことができるのは当たり前(承認するほどもことはない)と、私はこういうことを軽く見ていたのかもしれません。
そして小さな会社なので評価制度もまだ出来上がっていません。
でも雇われている側からすれば、どうすれば認めてもらえるのかの指標がわからないというのは不安なことだと思いました。
口で認めているよと言うだけではなく、それを可視化(みてわかる)も必要ですね。
私たち宿泊業はこれから1年で最大の繁忙期を迎えます。
それまでに評価制度をここから1か月で集中して仕上げて、社内に発表しようと思います。
作成途中の評価表を私の著書に載せています。必要に応じてご参考になさってください。