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『誰でもできる化』は可能か?組織を変える新たな挑戦

         
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前回まとめ

私が経営する~子どもとワンちゃんのためのグランピング~マツモトサトヤマドアーズ。
今回は大きな事件はありませんでしたので、みなさんの期待にお応えできる記事にはなっていないかもしれません(笑)。
ただ、うれしいことに、宿泊のご予約が前年の比ではないくらい入っていて現場は実はややパニック。
連休に照準をあわせていろいろ体制を整えていくつもりでしたが間に合っていません。
(もういろんなことが後手後手に回っています 滝汗)

あの料理長が来月月で退職(のハズ)

 「あの」料理長とは?本コラムの過去記事を読んでくださった方は「おお!あの料理長がついに退職なのか」と感慨深く思ってくださることと思いますが、初めての方向けに若干説明をさせていただきますね。
良いところもいっぱいある方なのですがひと言で表現すると

「強靭なメンタルと体力と口調で同僚を瞬殺する女性」です。

ええええ?女性だったんですか?と言われることもしばしばあるくらい言動はもう完璧に体育会系のおっさんです。
その実績たるや、整理整頓を指摘した男性の総支配人を駆逐し、新しく入社した55歳主婦パートさんを何度も強い口調で泣かせて辞める辞めないの崖っぷちに追い詰め、中途入社した58歳男性を初日で完全ノックダウンし1カ月半で退職に追い込みました。

赤沼さんは人事系のコンサルタントを20年もやっているのになぜそんな人をいつまでも雇っているんですか?と思いますよね。私も思います(苦笑)。
それはこの人にしかできないことが1つだけあるからなのです。

それは「自家製クロワッサンを仕込める技術」です。
実は宿泊客に大好評の朝食目玉商品がそれなのです。
焼きたてですから余計おいしいですしね。
なんとか外注できないだろうかと地元のパン屋さんをいくつも訪ねてクロワッサンを食べてみたのですが、どこもうちのクロワッサンほどおいしくないのです。
理由は明白で、クロワッサンは他のパンよりも工数が多く、原材料もバターがもりもりゴージャスで、なかなかわがままなパンです。

利益を少しでも出すために原材料の質を大丈夫な範囲でできるだけ落とし、工数もかけない製法にし、さらに廃棄ロス、人件費、光熱費を見込むわけですから市販品は節約型クロワッサンにならざるを得ないと思います。
一方うちのような高単価宿泊所が作るパンですと、まあまあ豪華な原材料でゆったり仕込めます。
だから美味しいと言っていただけるパンをお出しできるのです。

そしてこのパンを仕込める人が社内ではその料理長のみ。
独壇場というわけなのです。
だから社長の私の言うこと以外はほぼ聞かず、誰かが料理長の仕事ぶりに口をうっかり挟もうなら格好の攻撃のえじきとなり、つらい思いをすることになるのです。

誰でもできる化はわが社の悲願

美味しいパンをお客様に食べていただくには、その料理長の力を借りないと成立しないのです。
有名な会社の冷凍生地も一切受け入れず、自分にしかできないことで貢献しつづけてくださったことに私は感謝していますが、料理長が倒れる、病気で休むなどのときには何回もピンチが訪れ、冷や汗をかいてきました。

定年退職と有給休暇の消化等を数えると次の連休明けには出勤しなくなる想定です。
今度こそ代替手法を編み出そうと私も幹部も必死です。

まさかの「パン作りに来ますね」発言

 ところがご本人は「私が退職したらクロワッサン困るでしょうから、引き続きパンだけ仕込みに来てあげますよ」と周囲に話しているとのこと。

「もう来なくても大丈夫ですよ」と言いにくいことを言わなければなりません。
これはトップである私の役目ですよね(イヤだな)。

よい機会なので本質的大変更に挑戦します

これを機に私のホテル&グランピングは「グルテンフリーの宿」にお食事を刷新します。
そのための準備を半年かけてやってきました。
米粉を使ったおいしいパンを焼く栄養士さんを支配人が連れて来てくれ(高校の同級生)、数か月かけて打ち合わせや試食を重ねてきました。
保育園給食に長年携わっていた方なので「小麦・たまご・牛乳」という三大アレルギー対応の食事を毎日毎日作ってきたそうです。

私のホテルは子連れ専門ホテルなので、お子様のアレルギー相談はこれまでもいっぱい寄せられてきました。

今のあの料理長もアレルギー食には挑戦してくれていたのですが、米粉で美味しいパンを焼くのはうまくいきませんでした。
これからはその新しい栄養士さんの監修の元、私たちみんながグルテンフリー食を作れるようにしていきます。

厨房で料理長に泣かされ続けたパートさんがうれし泣き

「(料理長がいなくなるので)やっと私にも春が来ます」と厨房パートさんが泣きながら喜んでくれました。

さすがに複雑な私です。

料理長には感謝の気持ちを込めて、新しい方針を私からお話しようと思います(イヤだけど)。
それではみなさんまた来月、この誌面でお会いしましょう。