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実例から学ぶコンサルティングの提案術(第2回) ~現場の声を活かした改善策の提案~

         
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1. 現場の声の重要性とは

経営者が抱える課題を解決するには、現場の声をしっかり拾い上げることが不可欠です。
たとえば、ある飲食店チェーンでは、店舗ごとに売上成績に大きな差が生じていました。経営者が掲げた「全店のサービス品質を均一化したい」という目標の背景には、「現場間のばらつき」を解消するという明確な課題が存在していたのです。
そこで私が最初に行ったのは、現場スタッフとのヒアリングです。
特に、売上が低迷している店舗のスタッフから直接話を聞くことで、経営者が把握しきれていない「現場のリアル」を明らかにしました。その結果、「人手不足」や「シフトの偏り」といった問題が見えてきましたが、単なる数値の問題ではなく、スタッフの士気低下やリーダー不在が根本原因であることが判明しました。
こうした現場の声は、経営者が設定した目標の達成に向けた具体的な施策を設計するための出発点となります。

2. ヒアリングから分かった「見えない問題」

ヒアリングを進める中で、表面化していなかった「見えない問題」も浮かび上がりました。
たとえば、店舗スタッフの多くが「研修が形式的すぎて実務に役立たない」と感じていることが分かりました。この問題は、研修内容が現場の実態とかけ離れていることを示しており、改善すべき重要ポイントの一つです。
一方、売上の高い店舗のスタッフからは、「新しい施策を試しやすい自由な雰囲気がある」との声が聞かれました。
この事例からは、「成功する店舗の要因」を特定し、それを全店舗に共有することが重要であるとわかります。良い例と悪い例の両方を比較検討することで、改善の方向性が一層明確になります。

3. 提案書の作成―現場視点を盛り込む

現場から集めた情報を基に提案書を作成する際、私が重視しているのは「現場視点を反映すること」です。
経営者にとって、現場の課題は数値データや報告書に現れることがほとんどですが、それだけでは解決策が現実的でない場合があります。そこで、ヒアリングで得た具体的な声を引用しながら、改善策を提案します。
たとえば、ある店舗の「リーダー不在」が課題である場合、単に「リーダーを任命する」といった指示を出すのではなく、リーダー候補となる人材の選抜基準や育成計画を具体的に提示しました。このように、現場の状況に即した提案を行うことで、経営者にも納得感を持ってもらえるのです。

4. 成果の実感を共有する仕組み作り

提案の実行段階では、現場スタッフが「成果を実感できる仕組み」を作ることも大切です。
たとえば、施策を導入した店舗では、定期的にその進捗状況を確認する場を設けるよう提案しました。この仕組みは、改善の手応えを現場全体で共有するために効果的です。
ある店舗では、新たなリーダーを任命し、スタッフ間の連携がスムーズになった結果、売上が前年比20%アップしました。この成果を全店舗の会議で共有し、他店舗でも成功事例を参考にできるようにしました。現場の声を反映させた改善策が実際に成果を生む瞬間は、クライアントと私にとっての大きな喜びでもあります。

第3回へつづく