1. 経営方針発表会に参加する意義
私がコンサルタントとしてクライアントと向き合う際、最初に心がけているのは、「経営方針発表会」への参加です。経営者がその年に掲げる目標や具体的な戦略を理解することで、彼らが何を目指しているのかを把握できます。例えば、あるクリーニング店では「新人定着率の向上」が主要課題として挙げられていました。そこで注目したのは、「定着率」という言葉に込められた意味です。単に数値を上げることを指すのではなく、働きやすい環境作りを目指しているのではないかという解釈に至りました。こうした背景を読み取り、経営者との認識を一致させることが、提案の出発点となります。
また、経営方針発表会では具体的な施策案や現場スタッフへの期待感も共有されます。この情報は、提案の裏付けを作る上で非常に重要です。たとえば、「顧客満足度向上」という目標が掲げられていた場合、そのために「迅速な対応ができる体制を整えたい」というメッセージが含まれていることがあります。こうした情報を基に、私の提案がより具体的で説得力のあるものになります。
経営方針発表会に参加させてくださりありがとうございました
赤沼感想メモ
- 売上高の目標達成すばらしいです。未達成の企業さんにお伺いするのが常なので久々でした。
- 明るい女性スタッフさんたちが多くとても印象的でした。
この元気なみなさんと、黙々とやって下さる男性陣に支えられているんだなと感じました。 - 戻り率0.019%(他社の1/10)は素晴らしいですね。
工場のみなさんの技術力とチームワークを感じました。 - 店舗の検品ミスが「1600件」とお聞きした気がします。
一般人の私の印象としては、案外多い印象を受けました。(毎日3~4件発生相当)
新人スタッフさんが入ったり辞めたりが続くと、基本の徹底度を上げにくいので
定着してくださる新人さんを増やして、検品ミスを減らす結果を出したいと思いました。
- 平坂さんの発表で新人スタッフの困りごと発表がありましたね。これはとても参考になります。
(クレーム件数をメモし忘れましたが、私の想像を超える件数だったと記憶)
2位 困ったときにすぐ聞けない
(どんな内容で多くの方が困ったのか興味が湧きました)
クレームはある程度普通にあるものだという前提で勤務したほうがよいでしょうか。
●桜井さん以外の店舗リーダーのみなさんとお話ができましたので、
私が今後いろんなことを進めていくにあたり、「常勤&4人のリーダーさん」でプロジェクトチームを
組ませていただけたらと思いましたがいかがでしょうか。ぜひご検討ください。
(全リーダーに赤沼が同行取材から始めたいです)
2. 現場のデータ収集と課題の可視化
現場の課題を明確にするためには、定量的なデータが必要不可欠です。経営者が感じている問題を数値で裏付けることで、課題がよりリアルに見えてきます。先述のクリーニング店では、検品ミスが年間1600件発生しているというデータを取得しました。この数字が業界平均と比べて多いのか少ないのかを分析し、その原因を掘り下げる作業を行いました。
実際に現場スタッフへのヒアリングを進めると、検品ミスの大部分が「新人スタッフによるもの」であることがわかりました。この情報を元に、課題をさらに絞り込むことができました。新人教育のプロセスや内容に問題があるのか、現場でのサポート体制が不足しているのかを具体的に検討します。
一方で、データが語るのは問題だけではありません。ある店舗では、リーダーのサポートが手厚い結果、検品ミスが他店舗と比較して大幅に少ないことがわかりました。この事実は、「良い事例を共有する」という提案の基礎になりました。
3. 新人の声を聞き、違和感の正体を探る
「新人の離職率が高い」という課題は、単に数値上の問題として捉えるのではなく、その背景を深掘りする必要があります。そこで行ったのが、新人スタッフへの個別インタビューです。離職理由として最も多かったのは、「思っていた仕事と違う」という声でした。これは、採用段階での期待と現実の業務内容にギャップがあることを示しています。
例えば、採用時に「働きやすい職場」と伝えられたにもかかわらず、現場では忙しさに追われて十分なフォローが受けられないという現実が新人を困惑させていました。このギャップを埋めるためには、求人情報の内容を見直すことや、初期段階でのサポート体制を強化する必要があります。
また、新人たちが不安に感じているのは、業務の難易度だけではありません。例えば、職場でのコミュニケーション不足も課題として挙げられました。リーダーや先輩社員が忙しすぎて質問できる雰囲気ではない、という意見が目立ちました。これらの情報は、職場環境の改善提案に直結します。
4. ゴールの共有―提案の前に求める成果を明確化
提案を作成する際、最も重要なのはクライアントが望む成果を具体的に共有することです。このクリーニング店の経営者が目指していたのは、「2店舗を7人で安定運営すること」でした。このゴールを実現するために、必要な取り組みを明確に示しました。
赤沼に期待される新年度の目標は?
2店舗7人体制の実現
(13店50人相当のスタッフが確保できている状態を手に入れる)
新人スタッフの
採用・定着の課題をクリアしていきます
まず現状を可視化し、「現在のスタッフ配置では8人必要である」というデータを提示しました。このギャップを埋めるには、新人の早期離職を防ぐとともに、既存スタッフの業務効率を改善する必要があります。提案書には、採用計画の見直し、教育プロセスの再構築、業務効率化のためのシステム導入案を盛り込みました。
提案を受けた経営者は、「これなら実現可能だ」と納得してくれました。具体的な数字と実現可能なアクションプランを提示することが、クライアントの信頼を得る鍵だと改めて感じました。
第2回に続く