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実例から学ぶコンサルティングの提案術(第3回) ~ 課題解決のための現場との連携方法~

         
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1. 課題解決における現場の重要性

経営課題の多くは、現場のリアルな運営状況と直結しています。
そのため、解決策を導く際には現場との連携が欠かせません。
例えば、ある製造業のクライアントでは、「生産性向上」を目標に掲げていました。
しかし、経営層が考える解決策と現場スタッフが抱える問題には大きなギャップがありました。
ここで重要なのは、「現場が実行可能なプラン」を設計するための密なコミュニケーションです。

2. 現場スタッフを巻き込むヒアリング手法

現場との連携を深めるためには、単に問題点を聞き取るだけでなく、スタッフが積極的に参加できる場を設けることが重要です。
私はワークショップ形式を採用し、スタッフ自身に「課題を洗い出す」作業をしてもらいました。
具体的には、ポストイットに現場で感じている課題を書き出してもらい、それをグループで共有します。
こうすることで、スタッフが自身の意見を発信しやすくなり、課題の本質が見えてきます。
たとえば、「部品供給の遅れ」という問題が指摘された際、その背後に「コミュニケーション不足」や「工程管理の非効率性」が隠れていることがわかりました。
こうした具体的な指摘は、提案書を作成する際の重要な材料となります。

3. 現場主導で進める解決策の実行

現場の声を活かした解決策を実行する際には、スタッフに「当事者意識」を持ってもらうことが不可欠です。
提案書には、具体的な施策とともに、現場リーダーやキーパーソンを明確に示しました。
これにより、誰が何を担当するのかが分かりやすくなり、施策の実行力が向上します。
さらに、進捗状況を定期的に共有する仕組みも取り入れました。
たとえば、週次ミーティングで進捗や課題を確認し、必要に応じて軌道修正を行うことで、計画と現場の動きを一致させるようにしました。
このプロセスを通じて、現場のスタッフが「自分たちの意見が反映されている」と実感できるようになります。

4. 成功事例から学ぶ―継続可能な改善の仕組み

ある現場では、改善策として「工程ごとの進捗管理を可視化する」ためのツールを導入しました。
初めは使い方に戸惑いが見られましたが、研修や実践を重ねるうちに、スタッフから「作業効率が向上した」との声が上がるようになりました。
このツールの効果を他の部署にも共有し、全社的な改善活動へとつなげることができました。
このように、現場との連携を重視しながら課題解決を進めることで、組織全体が「改善を続ける文化」を育むことが可能になります。
経営者と現場の橋渡し役として活動する中で、現場スタッフの協力を得ることが、成功への最も確実な道だと実感しています。

第4回へつづく