当社のグランピング事業マツモトサトヤマドアーズの25歳アルバイトさんNさんに「指示をどこまで具体的にするべきか悩ましい」という相談を受けました。
しっかりと会話をし、その後のNさんの様子は、ミスは減り、シフトも非常に協力的です。
欲を言えば、もうちょっと細かいことを決まっている通りやってくれると良いのですが(要するに若干手抜き)、まあ決まったシフトにちゃんと出勤するようになったのでまずは一歩前進ということにします。
人に関する課題は次から次に出てくるので、気に病んだり落ち込んだりせず、1つ1つ向き合っていくことだなと思っていますが、みなさんの職場はいかがでしょうか。
さて今回はまた違う課題と向き合っている私です。
「残業が常態化している部門」がありましてどうしようかと。
とくに8月のグランピングは1年で最も忙しい時期。夏休みに入ってからは連日満室で、宿泊されるお客様の夕食と朝食をすべて仕込む厨房は戦場さながら。
毎日60個近い朝食用クロワッサンを一人で仕込んでいる料理長(63歳女性)は基本的に過労。
相棒のパートYさん(55歳女性)がまあまあ腕を上げてきたので料理長をサポートできるようになったとはいえ、この2人がほぼ毎日残業。
「忙しい時期だから仕方ない!」と気合いで前向きに乗り切ろうと料理長もパートのYさんも言ってくれて助かるのですが、残業代はかさむし、健康も心配だし、過労で交通事故を起こしてもいけないので、ここはやはり向き合うことにしました。
さてどうやって解決すればいいのやら。
過去の失敗
半年前マツモトサトヤマドアーズカフェが連日満席で忙しくなり、料理長が毎日残業していた際に「今日は定時で帰れそうですか?」という私の何気ない一言(深い意味はない)にキレた料理長。
「社長(私のことです)は何もわかっていない!!もう辞めてやる!!」と支配人に泣きながら電話するということがありました。
私としては料理長がなぜ私にキレたのか理解できませんでした。
一人増員するし、やることも減らせるよう判断もしたし、客層を変えるために売価も上げて…
と手を打ちました。
一体そんな私のどこが悪いというのか。
状況を理解しているからこそ手を打っているというのに。
そんなに辞めたいなら辞めてくれと思っていました。
この時は支配人の仲裁で鎮静化。
残業も人員増で解消していきました。
さて今回も似たような状況。つまり、ちょっと忙しくなると決まって残業が常態化する厨房部門をどうするか。
まずは原因を特定していく
「残業やめて!」や「生産性上げて!」や「もっと効率よく!」など、大きい枠の正論を話したところで
「そんなことはわかっています」と、できない理由を散々並べられるだけで何一つ前進しないことを私は半年前に学びました。
なぜ毎日残業になるのか原因を特定するため、私は現場に2週間入りました。そこで私が目撃した「残業のもと」は大きく2つありました。
原因の1つ目は、パートのYさんは、調理失敗して作り直す時間が「週2時間」つまり勤務時間の10%もあることがわかりました。
デザートの杏仁豆腐が固まらないとか、極端に量が少なくて作り足しになる二度手間とか。
そこで手書きのレシピメモを見せてもらうと、何が書いてあるかさっぱりわからない走り書きでした。
料理長は料理できる人なので口頭で「ああして、次はこうして、ほら簡単でしょ」と教えますが、Yさんは不器用な人。
より細かい手順を示してあげる必要があると思いました。自家製ステーキのたれのレシピを私が作成して掲示しました。それからは作り直しがなくなりました。
原因の2つ目は、食材買い出し。
買い出しに費やす時間が「毎日約1.5時間=週9時間」これはまずい!!!
毎日同じ食材(牛乳、カマンベールチーズ、りんごジュース、じゃがいも、たまねぎなど重たい10品目)をスーパーに買い出しにでかける料理長。
理由は、その店が他店より安くて品質の良いものを売っていること。
そして自分で直近の在庫を見て買いたい数を決められるのでやりやすいからでしょう。最善の判断をしてくれているのはわかりますが、週9時間を買い出しに費やす生活を私は見逃すわけにはいきません。ここはこの1年間改善できないままであることもわかりました。
人の動きを変えることは容易ではない
こうやって夏の間、私は厨房のスタッフ2人の大変さを間近で見ながら、原因を探求しながら次にどういう打ち手を持ってくるか研究していました。
私自身、管理職としてもっと効率のよい改善指導法があるのかもしれませんが、現場の苦労を体感したうえで「こうしてみましょうよ」と提案風に改善を進めるのが今の私の職場に合っている気がします。
半年前に料理長が私にキレたのは「大変な中がんばっている」という気持ちを社長の私に分かって欲しかったのだと思います。
私は気持ちを汲み取ったつもりでしたが、そうは思えなかったのでしょう。
今回は料理長よりも早く(朝5時台)出勤して全面サポートして関係性を作っていきました。
人の動きを変えるのは簡単じゃないですね。
でも現場と管理職とが一緒にやればできることも増えることを体感しました。この続きはまた次回お話しますね。